研究実績の概要 |
本研究は、小児医療において玩具等の共有物品や療養環境を適正に衛生管理することで、それらを介した医療関連感染を防止し、子どもたちの健康と質の高い看護ケアの提供に寄与することを最終目的としており、小児外来の診察室や処置室、待合室やプレイルームに設置されている玩具等の共有物品や療養環境の衛生管理方法の実態と汚染の実態を明らかにし、衛生管理上の課題を明らかにすることを目的としている。 平成29年度に名古屋市立大学看護学部研究倫理審査委員会の承認を受け(ID:17010)、その後研究協力施設Aおよび施設Bの研究倫理審査委員会の承認を受け(施設A ID:6、施設B ID:29-26)研究を開始した。 病院外来に来院した小児および付添い者を対象とし、待ち時間の過ごし方や玩具の衛生管理等に関する質問紙調査を行い、89名から回答を得た。また質問紙調査に協力いただいた方を対象に、待合室や診察室等での過ごし方や手指の接触部位および衛生行動の実施状況等について行動観察調査を行い、待合室65名、診察室83名、処置室17名の観察を行った。質問紙調査および行動観察調査の結果から、外来の玩具や診療器具等の共有物品および療養環境において汚染度を明らかにすべき箇所を検討し、327箇所(玩具78個、診療器具19箇所、療養環境236箇所)の洗浄前および洗浄後の汚染度をATP検査にて調査した。洗浄前のATP値(中央値)は、5,063RLU(Relative Light Unit:相対発光量)であり、処置台や本棚等は高値となった。洗浄後(中央値)は2,608RLUであった。洗浄前後のATP値の減少率(中央値)は、38.1%であった。研究協力施設AおよびBの感染管理認定看護師を対象に、施設における玩具等の共有物品および療養環境の衛生管理方法について質問紙調査を行い、回答を得た。
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