研究課題
環状RNAによるびまん性胃癌(DGC)の悪性形質獲得とその分子機構について、1)胃癌切除組織を用いた環状RNA探索、2)液体生検を用いたDGC特異的に発現する環状RNA探索、に焦点をあて研究を進行中である。1-1)消化器癌における既報の癌関連環状RNAの発現量の評価 消化器癌における具体的な癌関連環状RNA発現量を把握するため、cirs-7 (CDR1as) (Cancer Res. 2013, J Cancer Res Clin Oncol. 2017, Onco Targets Ther. 2017)を含めたいくつかの環状RNA発現を評価した。予想に反して、胃癌組織において周囲胃正常組織よりも発現が低くなる傾向を認めた。胃癌以外の癌腫として食道扁平上皮癌の検討では、癌組織において周囲正常食道組織より発現が高くなる傾向を認めた。1-2)びまん性胃癌組織における特異的な環状RNA候補の探索 びまん性胃癌組織と胃癌細胞株から抽出したtotal RNA に対しRNaseR処理を行い、網羅的解析を行っている。また、circRNA database (circBase, circRNADb)の登録情報を活用して候補環状RNAの充実を図り、候補環状RNAを探索しているところである。2)液体生検を用いたDGC特異的に発現する環状RNA探索 胃癌患者血漿中の環状RNAに関しては、検出は可能であるがかなり微量であり、より安定した解析手法の確立のために、RNA抽出と逆転写について、いくつかの新たな手法により検討しているところである。
3: やや遅れている
胃癌患者血漿遊離RNA中の環状RNAの検出は可能であるが予想以上に少ない発現量であり、従来の抽出方法では安定した結果が得られないと考えている。より安定した解析手法の確立のために、RNA抽出と逆転写について、いくつかの新たな手法により検討しているところである。
1)候補環状RNAの一般性の検討 候補環状RNAの検討の後に、Valitdation cohortとして、50例の術前・術後DGC患者血漿、50例の健常対象者血漿サンプルを用いてdigital PCRを行い、選択された数個の候補環状RNAの血漿中での特異的検出を評価する。2)DGCに発現する候補環状RNAの機能解析DGC細胞株のうち、特に候補環状RNAの発現の高い細胞株を選択し、候補環状RNA遺伝子抑制実験(siRNA)を行い、候補環状RNAの癌に対する増殖・浸潤・転移能の評価を行う。項目としては、1 MTTアッセイによる細胞増殖能、2 細胞機能の変化を観察・評価、3 Boyden chamber assay法による癌細胞の遊走・浸潤アッセイ等について検討する。3)標的分子の同定 DGC細胞株を用いて、候補環状RNAのsiRNAを用いたknock downにより変化するmicro RNA及びにmRNAに関してmicroarrayを用いた網羅的解析を用いて検討し、標的分子の同定を行う。平行してビオチン化直鎖RNA(非環状化)を用いたプルダウンアッセイにより結合(吸着)mRNA、miRNAを網羅的に同定し、これらを統合することにより標的分子候補を決定する。候補は、定量PCRにより確認する。標的候補群を用いたGO解析、パスウェイ解析から、表現型に関連した環状RNAによる調節機構をバイオインフォマティクに推定し、下流に位置する分子の発現導入やノックダウンでの表現型のレスキューによって実験的に確認する。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 5件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 1件)
Gastric Cancer
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