本研究は、平安朝の和歌制作の状況を文章で記した作品である、序と記とを対象とした。序と記とは、文体が異なり、共に漢文と仮名文の作品が残っている。 本研究では、まず、序と記および、それらと同時に作られた和歌を収集、整理した。続いて、序と記とを、漢文学と和文学双方の表現をふまえて解釈した。また、解釈に基づいて、宴集の開催年次や趣向について、従来の説に再考を促した。さらに、個々の作者や、歌人グループが制作した序について、その表現の特質と和歌史における意義とを検討した。以上の考察により、本研究は、平安朝文学における序と記の意義の一端を解明し、和歌制作の状況をより実態に即して明らかにした。
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