研究実績の概要 |
本研究の目的は、米国人作家マーク・トウェインの文学における言葉遊びを使用したテキストの暗号化という表現手法の解明である。トウェインが言葉遊びと暗号という緻密な形式上の工夫が求められる表現手法を多用していることを示すことで、彼のフォルマリストとしての新たな側面を提示する。上記目的のために2017-18年度に行った研究内容と実績の概要は以下の通りである。 1)資料調査:計画通り米国カルフォルニア大学バークレー校、Mark Twain Project(資料館)にて、2018年2月12日-16日の間に資料調査を実施。Tom Sawyer, Detective の原稿とトウェインの使用した辞書・辞典・暗号関連の資料に加え、言葉遊びへの言及や実例を含むノート、手紙、散文作品の原稿を精査し、一部デジタル化。資料はトウェインが様々なジャンルに渡って言葉遊びを頻繁に使用していたことを裏付ける点で重要な意義を持つ。 2)資料の収集・整理:計画通り米国テキサス大学オースティン校 Harry Ransom Center よりPudd’nhead Wilson 執筆時に使用されていた未出版のノート及び小説 A Murder, A Mystery A Marriage の原稿をPDFで購入し、精読。また、トウェインの散文作品、トウェインに関する研究書、言葉遊び関連の研究書を購入し、内容を精査。その成果の一部として学会誌「マーク・トウェイン研究と批評」17号に研究書Mark Twain and Youth(2016)の書評が掲載決定済み。 3)批評の枠組み構築と小説読解:計画通り1・2年目の調査結果を整理し、批評的枠組みとして統合。その枠組みを使用したトウェイン作品の読解を開始。読解を進めつつ、研究成果を研究書にまとめる作業を行なっている。2018年度中には研究書の原稿が完成し、出版社選定に入る予定。
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