研究実績の概要 |
本研究は、妊娠糖尿病妊婦の療養行動とその関連要因を検証し、妊娠糖尿病妊婦の療養行動を支える看護支援プログラムを構築することを目的としている。 平成28年度は、新診断基準にて妊娠糖尿病と診断され、診断後1か月以内の妊婦93人、および正常な経過をたどる妊婦280人に調査を依頼、同意が得られ、回答に不備のなかった妊娠糖尿病妊婦76人、正常妊婦280人のデータを解析した。 妊娠糖尿病妊婦76人のHbA1cは平均5.3(SD=0.3)%、総エネルギー摂取量は1,367kcal(SD=425)、エネルギーに占める炭水化物摂取比率は52.2(SD=6.1)%、脂質摂取比率は30.5(SD=5.4)%であった。このことから、妊娠糖尿病妊婦の血糖コントロールは良好であるが、エネルギー摂取量が少ないこと、特に炭水化物の摂取比率が低く相対的に脂質摂取比率が増加しており、栄養バランスが偏っている可能性が示唆された。次に妊娠糖尿病妊婦の精神面に関して検討を行った。その結果、妊娠糖尿病妊婦において[子どもを健康に育てることができる]得点は、正常な経過をたどる妊婦よりも有意に低い(p<.01)ことが示された。また、重回帰分析の結果、[子どもを健康に育てることができる]の関連要因として、年齢と経産歴が示され、[母親になる自信がある]の関連要因として、胎児愛着と状態不安、両親のサポート、友人のサポートが示された。 以上の結果から妊娠糖尿病妊婦に対して、血糖コントロールを保ちつつバランスのとれた栄養摂取への支援が必要であることや、胎児の健康の認識に対する支援が必要であること、妊婦の両親や友人などの理解と協力が得られるように支援をする重要性が示唆された。
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