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2016 年度 実績報告書

アセトアミノフェン中毒におけるケモカインの病態生理学的解析と法医診断学への応用

研究課題

研究課題/領域番号 16H07134
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

山本 寛記  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30781265)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワードアセトアミノフェン / 肝障害 / 法医学
研究実績の概要

アセトアミノフェン(APAP)肝障害におけるケモカインの動態及び分子メカニズムの解明を目的としてマウスを用いた実験を行った.マウスは,CCL3,CCR1及びCCR5の各遺伝子欠損マウスと,コントロールとして野生型(C57BL/6)マウスを使用し,APAPを600 mg/kg投与後、経時的(2,6,10,24時間)に各マウスから採取した血液を血清分離して血清肝逸脱酵素(ALT)の測定を行い,肝障害の程度を生化学的に解析した.その結果,野生型及びCCR1遺伝子欠損マウスにおいて6時間から24時間で血清中ALTが大幅に上昇したのに対し,CCL3遺伝子欠損及びCCR5遺伝子欠損マウスにおいてはALTの上昇は抑えられた.さらに投与後10時間及び24時間に採取した肝臓組織から作成したパラフィン包埋切片をHE染色し,形態学的変化を観察したところ,CCR1遺伝子欠損マウスと比較して,CCL3遺伝子欠損及びCCR5遺伝子欠損マウスで,明らかに肝障害の軽減が見られたことから,APAP肝障害におけるCCL3‐CCR5シグナルの関与が示唆された.
野生型マウスにAPAP投与後,継時的(10h,24h)に採取した肝組織により,total RNAを抽出し,逆転写によりcDNAを合成,real time RT-PCRを行い,各時間におけるCCL3のmRNAを定量した結果,CCL3は24時間まで増加していた.さらにCCR5,CCL4,CCL5に特異的なプライマーを用いて各mRNAを定量したところ,CCL4,CCL5の発現量が10時間で増加した後,24時間で減少していたのに対し,CCR5は24時間まで発現量が増加していた.さらに蛍光二重染色においてCCR5の発現を確認したところ,マクロファージ,T細胞,NK細胞でCCR5の発現が確認された.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当初の計画通り進展している

今後の研究の推進方策

今後は,ウエスタンブロットやFACSなども行い,さらに詳しくAPAP肝障害におけるケモカインの動態及び分子メカニズムの解明を目指すとともに、APAP投与後の各遺伝子欠損マウスにおける炎症性サイトカインおよびCytochrome P450の遺伝子発現検討を行う.また,マウスの肝細胞を培養し,培養液にAPAPのみを添加した群,APAPとCCL3を添加した群で継時的に細胞の生存率を解析し,比較検討を行う.
さらに実際の法医実務においてAPAPやその他薬物中毒と判断された事例について,血液や各臓器を採取し,各CCL3の動態をタンパク質及び遺伝子レベルで検索.それらの検索結果は,実験動物モデルを用いた実験結果と比較検討し,CCL3発現動態がAPAP中毒診断のために応用可能か否かについて検討する.

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公開日: 2018-01-16  

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