南太平洋のヴァヌアツ共和国では、話者およそ500人に無文字言語ツツバ語が用いられている。ツツバ語の2桁の数は、オセアニア祖語や同系統の多くの言語とは異なり、序数を用いてあらわされる。本研究はこの点に着目し、ツツバ語の数詞を中心に年に数度の調査を行った。そして、結婚式や首長任命式などの儀礼においてこうした数え方が用いられること、また儀礼の成功に数が関係すること から、ツツバ語の2桁の数が、儀礼文化に呼応して序数を用いる数え方へと変化した可能性、および儀礼がこの数え方を支持した可能性について考察を行った。
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