平成29年度は7名の訪問看護師(在宅看護専門看護師4名、訪問看護認定看護師1名、認知症看護認定看護師1名)へインタビューを実施し、データを質的に分析し、ケア行動を抽出し、ガイドラインを作成した。ケア行動は、実践への活用を考慮してⅢ期(Ⅰ.在宅療養開始~看取りまでのケア、Ⅱ.療養者の死が近い状況で特に大切となるケア、Ⅲ.死~看取り後のケア)に分類し明示した。看取りの意味を引き出す訪問看護師のケア行動として28項目が抽出された。主な項目は【療養者・家族がなぜ在宅療養を選択したのか、その目的を共有する】【療養者にとっての最善の生活と療養場所について、家族と共に考える】【過去からの時間的経過のなかで療養者らしい人生を家族と共に考える】【療養者の最期が近い事に家族が向き合えるよう説明をする】【療養者の死までの心身の変化を家族が理解して介護できるように説明する】【在宅で穏やかな療養と看取りができたことを肯定する】であった。訪問看護師は、在宅療養開始当初から在宅で最期まで過ごす可能性を考え、家族の認識について情報を得るとともに、家族に看取りについて考えることを促し、共に考えるケア行動をとっていた。また、潜在化しやすい非がん高齢者自身の意思を表面化させて家族に伝わるよう働きかけ、療養者の人生について共に考えるケア行動をとっていた。療養者・家族・訪問看護師の三者間で療養者の意向を中心とした看取りの実現へ向けて働きかけることが意味を引きだすケアとなると考えられた。 以上のことから、訪問看護師は家族介護者に対して、在宅で過ごす日常生活における価値を問いかけ、家族が考えるための土壌となる説明を行い、意味を見いだすことを助け、見いだされた意味を強化するケア行動を行っていることが明らかになった。
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