本研究はルーマニアにおける宗教学の構築過程について、以下の事柄を明らかにした。①ルーマニアにおける宗教学の構築は、1920年代にミルチャ・エリアーデがイタリアの宗教研究を受容し、導入したことが契機となっている。②エリアーデは、R・ペッタッツォーニの宗教史学を受容しようとしたが、「祖型」「聖なるもの」をめぐり見解を違えるようになった。③エリアーデは、宗教体験を手掛かりに宗教の普遍的な形式を解明しようとするV・マッキオロの神秘主義研究も積極的に受容しようとした。マッキオロとの学的連関は、エリアーデが宗教現象学に受容する基盤となった可能性が想定される。
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