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2016 年度 実績報告書

急性肺傷害における無菌性炎症の分子基盤の解明

研究課題

研究課題/領域番号 16H07151
研究機関自治医科大学

研究代表者

水品 佳子  自治医科大学, 医学部, 助教 (70458321)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード炎症 / 酵素 / 細胞・組織 / 肺疾患 / 免疫学
研究実績の概要

誤嚥性肺臓炎におけるIL-1βの役割、およびカスパーゼ-1非依存性のIL-1βプロセシング機構を解明する目的を達成するため、主にマウスモデルを用いて誤嚥性肺臓炎の病態におけるIL-1βおよびNLRP3インフラマソームの役割の解析を行った。
まずはマウスの気管内に塩酸を投与することによるマウス誤嚥性肺臓炎モデルを確立した。具体的にはマウスの気管内に0.05N塩酸を投与し、投与24時間後に解析を行うこととした。
次にマウス誤嚥性肺臓炎モデルを用いて解析を行ったところ、塩酸気管内投与によりBALF中のIL-1βは有意に増加した。IL-1β欠損マウスを用いた解析を行ったところ、IL-1β欠損マウスでは野生型マウスと比較して、BALF中のマクロファージを中心とした炎症細胞数が減少し、肺組織における炎症細胞浸潤も軽減していた。さらにIL-1β欠損マウスでは、野生型と比較してHE染色における肺傷害スコアの低下、免疫組織化学染色による酸化ストレスの評価で陽性細胞数の減少を認めた。これらの結果から、誤嚥性肺臓炎においてIL-1βが肺傷害の進展に関与していることが示された。
一方で、野生型マウスとNLRP3欠損マウスの比較では、塩酸気管内投与後のBALF中のIL-1β、HE染色での肺傷害スコアはともに有意差を認めなかった。以上の結果から、マウス誤嚥性肺臓炎モデルにおけるNLRP3インフラマソーム非依存的なIL-1β産生機構の関与が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成28年度は、誤嚥性肺臓炎におけるIL-1βおよびNLRP3インフラマソームの役割を解明することを目標とし、マウス誤嚥性肺臓炎モデルの確立や遺伝子欠損マウスを用いた解析を行うことを計画していた。それらの実験はおおむね予定通りに終了し、上記の結果を得た。

今後の研究の推進方策

平成29年度は、酸刺激で誘導されるカスパーゼ-1非依存的な新規IL-1βプロセシング機構の解明を行うことを目標に、まずはプロセシング部位の同定を行う予定である。具体的には、マクロファージを酸刺激した際のIL-1β産生およびプロセシングに対する各種阻害剤の影響を検討する。さらにIL-1βプロセシング部位のアミノ酸変異体マクロファージを作製し、酸刺激によるプロセシング部位の解析や、酸刺激によってプロセシングされたIL-1βの抽出・回収し、質量分析を行う予定である。

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公開日: 2018-01-16  

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