研究課題
自治医科大学附属さいたま医療センターで採取した大腸癌切除標本のうち、転移を伴う大腸癌の検体を選択し、正常大腸粘膜、大腸癌部については粘膜側、中心、漿膜側のそれぞれからmicroRNAを抽出した。microRNA用のcancer panel(Cancer Focus microRNA PCR Panel(Exiqon社))を用い、癌に関与する84種類のmicroRNAの測定を行った。そのうち、27個のmicroRNAの発現で腫瘍内不均一性を認めた。大腸癌におけるtumor suppressor microRNA(がん抑制型microRNA)と考えられているmiR-34aの発現については10検体から抽出した計50箇所のRNAを用いq-RTPCRを施行し、バリデーションを行った。その結果、粘膜側、中心部では同一患者の正常大腸粘膜の発現と同程度であったものの、漿膜側では有意に発現が低下している(p=0.03)ことが確認できた。また、同様にtumor suppressor microRNAと考えられているmiR30-cにおいても有意差はなかったが漿膜側で発現低下している傾向を認めた(p=0.06)。いずれも転移を有さない大腸癌の検討では漿膜側とそれ以外の部位で発現差を認めなかった。以前、われわれが報告したmRNA発現と同様に、microRNAの発現においても、癌の漿膜側から検体を採取することで癌の浸潤能、転移能を正しく反映した結果が得られることを示唆していると考えられた。また、同一患者の血液検体から採取したmicroRNAに対してもcancer panelを用いた測定を行っており、組織と血液のmicroRNA発現プロファイルを比較し、組織漿膜側のプロファイルの方がより血液の発現プロファイルに近いことが判明し、癌の漿膜側での検体を用いることで血液中に移行する癌細胞の状態をとらえることができると考えられた。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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