研究課題/領域番号 |
16H07159
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
高橋 奈津美 青山学院大学, 理工学部, 助教 (60780319)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 多目的ネットワーク / パレート最適 / 最適設計 / アルゴリズム |
研究実績の概要 |
最適な通信ルーティング探索システムや生産・物流管理計画システムといった,我々の生活基盤や社会基盤を支えるシステムの多くはネットワーク構造を有している.多様な価値観に対応した複数の評価指標を付加したネットワーク(多目的ネットワーク)に対して評価を行うことは,意思決定者に対し特定の評価指標による単一解でなく,同時に複数の評価指標を考慮した案を提示することが可能となる.本研究では,ネットワーク構造を有するシステム設計問題において,ネットワークの多目的最適化問題に注目する.この問題をより現実的なネットワーク設計・運用に適用するために,変動性を有するネットワークの最適解探索方法を検討することを目的とする. 平成28年度は,変動性を考慮しない静的ネットワークにおいて検証を行い,次年度に変動性を考慮するネットワークの最適解導出方法へ展開するための準備を行った.初めに,①グラフ理論における部分ネットワークと全体ネットワークの連結構造の表現等本研究に関連する文献調査を行った.また,②ネットワーク構成と評価指標数の変化がパレート解分布にもたらす影響に関して,ノード・エッジに与える目的関数値の範囲,及び目的関数の数を変化させた数値実験を行い,有効な探索空間削減方法を分析した.さらに,③部分ネットワークと全体ネットワークの連結関係について検討するため,ノード数ごとの最適解の構造の分析を行った.この成果を国際学会1件、国内発表2件にまとめた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は変動性を考慮しない静的ネットワークにおいて検証を行い,次年度に変動性を考慮するネットワークの最適解導出方法へ展開するための準備を行った.①グラフ理論における部分ネットワークと全体ネットワークの連結構造の表現等本研究に関連する文献調査を行った.また,②ネットワーク構成と評価指標数の変化がパレート解分布にもたらす影響に関して,ノード・エッジに与える目的関数値の範囲,及び目的関数の数の観点から数値実験により検証した.その結果,探索空間の削減に有効な基準解数は,目的関数値の範囲及び目的関数の数によって変化することが明らかとなった.さらに,③部分ネットワークと全体ネットワークの連結関係について検討するため,ノード数ごとの最適解の構造の分析を進めた.この成果を国際学会1件、国内発表2件にまとめた. 以上の通り,平成28年度は研究計画に基づき概ね計画通りに進行していると考える.
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今後の研究の推進方策 |
本年度は変動性を考慮しない静的ネットワークにおいて更なる検証を行い,昨年度得られた結果と併せ変動性を有するネットワークモデルへの拡張を図る. 昨年度の最適解の構造分析の結果をもとに,1)部分ネットワークと全体ネットワークの連結関係を分析し,全体ネットワークの評価値が,部分ネットワークの評価値から容易に算出しうるようなネットワークの分割やネットワーク全体の評価に影響を与えうる要素の指標化などについて検討する. 次に,昨年度のパレート解分布の分析から,2)目的関数値及び目的関数の数の変化に影響を受けにくい最適解の探索空間制限方法を検討する. また,1)の結果により全体ネットワークの評価値が部分ネットワークの評価値から容易に計算可能となることで,3) k 点間連結ネットワーク問題への拡張の検討が可能になると考えられる. そして最終的に,変動性を有する動的ネットワークの多目的最適化問題に対し,1)2)3)での提案内容を包括的に検討し,柔軟性の高い総合的な最適解探索方法を検討する.
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