最適な通信ルーティング探索システムや生産・物流管理計画システムといった,我々の生活基盤や社会基盤を支えるシステムの多くはネットワーク構造を有している.多様な価値観に対応した複数の評価指標を付加したネットワーク(多目的ネットワーク)に対して評価を行うことは,意思決定者に対し特定の評価指標による単一解でなく,同時に複数の評価指標を考慮した案を提示することが可能となる.本研究では,ネットワーク構造を有するシステム設計問題において,ネットワークの多目的最適化問題に注目する.この問題をより現実的なネットワーク設計・運用に適用するために,変動性を有するネットワークの最適解探索方法を検討することを目的とする.平成29年度は,変動性を考慮したネットワークへの拡張可能な評価基準および探索空間削減方法の検討を行った. はじめに,1)ネットワークの連結関係について分析し,ネットワーク信頼度を考慮した最適ネットワーク構成問題で,最適ネットワークにおける部分ネットワークの構造特性を示した.また,ネットワーク全体の評価に影響を与えうる要素の指標化を行い,2目的ネットワークにおける最適解探索アルゴリズムを提案した. また,昨年度提案した探索空間削減の基準解について分析を進め,2)目的関数値及び目的関数の数の変化,ネットワーク規模の変化に影響を受けにくい基準解の導出方法について考察を行った.加えて基準解の探索過程を再検討し,基準解の概念の拡張を検討した. これらの成果を雑誌論文1件,国際学会2件,国内発表3件にまとめた.
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