ペルーにおいて、先住民共同体の土地は共有で平等に利用され、内部では土地問題はないと述べられてきたが事実は異なる。調査地の共同体では1997年に領域を細分したため、区画の大きさや境界をめぐり軋轢が生じた。2016年には、とくに若者世代が自身の区画を求めて再区分を提案し問題が再燃した。現地調査では区画面積を計測し、区画の不均等さを実証した。土地をめぐる軋轢の背景には、先住民共同体の土地の市場への開放という国策の影響があった。また何を区分の公的文書とみなすかについても意見が分かれていた。しかし、現在のところ、人々は外部には土地を売らないと主張することで外部を排除し、共同体を維持していると考えられる。
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