本研究では、数理的なマネジメント・コントロール研究で用いられるLENフレームワークにおいて、プリンシパル=エージェント間で経営環境に関する主観的信念が異なる場合に、最適なマネジメント・コントロールの設計にいかなる影響が及ぼされるかを検討した。本研究で用いたモデルでは、経営環境に関して、より良好な環境にあると信じている場合は楽観的、劣悪な環境にあると信じている場合は悲観的だと定義する。分析の結果、楽観的なエージェントと契約した方が、均衡でのインセンティブ・レートや努力水準が高くなる一方、エージェントが楽観的すぎる場合にはプリンシパルから契約が提示されなくなる条件が存在することが明らかとなった。
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