本研究は、運動がインスリン抵抗性を改善するメカニズムをレドックス制御機構に着目して明らかにすることを目的とした。正常マウスの骨格筋において、キサンチンオキシダーゼ(XO)の薬理的阻害により、運動後に生じる細胞内シグナル伝達の活性化が減弱され、Nrf2遺伝子発現の増加が抑制された。一方、肥満マウスにおいては、XO阻害剤の投与は運動後のシグナル伝達の活性化を抑制せず、インスリン感受性の増加にも影響を与えなかった。これらの結果は、運動時のROS産生が細胞内シグナル伝達や遺伝子発現に与える影響はインスリン抵抗性の状態によって異なる可能性を示唆している。
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