研究課題
健常人4名とKufor-Rakeb症候群(KRS)患者2名のiPS細胞から分化したドパミン細胞の長期培養を行い、分化初期よりエキソソームの分泌が低下していることが観察された。ESCRTIII関連タンパク質で胞内小体生成に重要な役割を果たしているALIXに対するshRNAはドパミン細胞でもエキソソームの分泌を亢進し、αシヌクレインの蓄積を軽減したが、同じくエキソソーム分泌を促進する中性スフィンゴミエィナーゼはαシヌクレインの蓄積を改善しなかった。さらにKRS患者のドパミン細胞で認められる分化後期のミトコンドリア呼吸の低下も改善した。以上の結果はKRSの細胞障害の大きな原因の1つがエキソソームの分泌障害であり、この経路を改善することで細胞内の他の細胞内小器官の障害も改善し得ることを示唆している。また、in vitro invagination assayを確立して、既知のFYVEタンパク質をスクリーニングし、ATP13A2/PARK9による胞内小胞体形成異常に関与するタンパク質(タンパク質A)を発見した。タンパク質Aは後期エンドソームに位置するが、他のFYVEタンパク質と同様に亜鉛のキレートで後期エンドソームへの局在は消失した。共焦点レーザー顕微鏡による観察では、ATP13A2と共局在し、免疫沈降法で物理的な相互作用が確認された。さらにshRNAによるATP13A2のノックダウン細胞、KRS患者のドパミン細胞などATP13A2の機能が喪失した細胞では、タンパク質Aの局在も変化した。タンパク質Aのノックアウトマウスは神経変性を生じることが知られており、神経細胞の機能に重要な役割を果たしている。現在、このタンパク質AとATP13A2の機能的な関係性についてさらに検討を進めている。以上のように本研究の大きな目的が達成されたと言える。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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難病と在宅ケア
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巻: 23 ページ: 17-20
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