現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)新規治療標的TKとTK阻害剤のスクリーニング:ASPSの臨床検体から得られた抗体ベースのプロテオーム解析(キノームプロファイリング)を行い、正常組織に比べASPS腫瘍部で高発現する14種類(全90種類中)のTKを同定した。また得られたプロファイルから新規治療標的として有望な3種類のTK(TK-A, TK-B, TK-C)を同定し、これらのTKをターゲットとする既存のTK阻害剤を5種類(TKI-A, TKI-B, TKI-C, TKI-D, TKI-E)を選定した。 (2)TK阻害剤のin vitro抗腫瘍効果:ASPS細胞株を用いてin vitro機能解析を行い、TK阻害剤投与下では細胞の増殖・浸潤能が濃度依存的に抑制され、さらにアポトーシスも誘導される結果が得られ、これらの阻害剤がin vitroレベルでASPSに対して高い抗腫瘍効果を持つことが示された。 (3)TKを介した細胞内シグナル伝達の抑制効果:5種類のTK阻害剤の中でより高い抗腫瘍効果を示したTKI-AとTKI-BのターゲットであるTK-AとTK-Bに着目し、これらのTK阻害剤投与下ではTKリン酸化とその下流分子の発現が共に濃度依存的に抑制された。 これらの結果から(1)において同定したTKがASPSにおける阻害剤の抗腫瘍効果を惹起するメインターゲットであり、かつ腫瘍の悪性化に深く寄与していることが示唆された。
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