研究課題
前年度、申請者らは血清検体中の妊娠高血圧症候群(HDP)疾患バイオマーカー(DBM)候補分子であるペプチド「PDA071」のLC-MS/MS定量法を新規開発した。本年度は臨床血液検体を実測し、以下の課題[1]-[5]に従って研究を進め成果を得た。[1]標準化測定プロトコルの作成:多検体測定に際し、再現性を検討し証明した。また、定量時に迅速かつ他検体への影響を排除した、最適な質量分析装置の洗浄試薬・手順を開発、選択して標準化測定プロトコルとした。[2]新規PDA071定量法の正確性評価:ランダム抽出した臨床血清検体19例のPDA071濃度を新規定量法で測定し、過去に定量正確性が証明されているBLOTCHIP-MS法の結果と比較した。両者の結果は比例相関し本法の定量正確性が示された。[3]臨床検体の測定と独立DBMとしての有用性評価:正常妊婦(30週:30例/23週:15例)とHDP患者群34例から得られた血清を対象に本測定法でPDA071を定量した。HDP患者群では1例に異常高値を認め、正常妊婦に比し全体的にPDA071が高濃度であったが、統計的有意差はなく、単独測定によるHDPの評価は困難と判断した。[4]多元的病態評価法の確立:PDA071と先行研究でのDBM候補ペプチド(PDA039/044)の血中濃度をあわせて、3次元プロットすると明らかに正常群と罹患患者群とで集積部が異なった。判別分析による統計学的検証では79.7%の確率で正確な分類が可能であり、3種類の複合分析が病態把握向上に寄与すると示された。一方血清タンパク質sFlt-1やPlGFの測定追加は更なる病態評価精度の向上には繋がらなかった。[5]病歴と測定結果データベースの対比:PDA071高値の患者数人の傾向に血糖上昇を認めた。以上から本研究目的である血中PDA039/044/071による多元的病態評価法が確立した。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2018 2017
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Annals of Clinical Biochemistry
巻: 55(2) ページ: 287-295
10.1177/0004563217717748.
東京産科婦人科学会会誌
巻: 66(4) ページ: 624-629
産婦人科の実際
巻: 66(9) ページ: 1165-1170
巻: 66(3) ページ: 463-467