本研究は、大規模長期前向きコホート研究であるRotterdam研究の薬剤疫学データを用いて、HMG-CoA還元酵素阻害薬の薬剤感受性遺伝子を検討し、また、我が国の大規模長期前向きコホート研究である次世代多目的コホート研究において、薬剤疫学データの整備・検証を行うことを目的としている。 1.Rotterdam研究におけるHMG-CoA還元酵素阻害薬の薬剤感受性遺伝子多型の探索 Rotterdam研究は、1989年に開始されたオランダRotterdam郊外のOmmoord地区の55歳以上の住民を対象とした、長期前向きコホート研究である。第1期、第2期、第3期、第4期と追跡研究が行われており、地域の家庭医の処方データおよび薬局データは1997年1月より収集されている。Rotterdam研究における解析のため集積された1997年以降のHMG-CoA還元酵素阻害薬の処方データ、コレステロールなどの生化学データ、ゲノム情報、その他の基礎特性データを突合したデータセットを作成し、HMG-CoA還元酵素阻害薬の薬剤感受性遺伝子多型の探索について解析を行い、共同研究者との意見交換を行った。 2.次世代多目的コホート研究における、薬剤疫学研究の構築に向けた薬剤レセプトデータの検証 次世代多目的コホート研究は、2011年に開始された大規模長期前向きコホート研究であり、質問票による食事・生活習慣や検診データに加え、ゲノム情報や電子化医療情報も収集されている。次世代多目的コホート研究で収集されたアンケート・健診・追跡などの匿名化された既存情報を用いたデータ解析研究として、コホート研究対象地域内のレセプトデータについてデータを検証し、コホートデータとの妥当性などを検討した。
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