研究計画に基づき、調査結果をとりまとめ、過去40年間に設置された産業廃棄物最終処分場の立地場所や規模に関するデータベースを完成させ、分析、論文作成、論文投稿の作業をおこなった。 具体的な研究実績については、構築したデータベースをもとに、民間業者によって運営される産業廃棄物最終処分場が空間的に集中している地域が存在するのかについて、空間計量経済学の手法を用いて分析をおこなった。その結果、20年以上にわたって産業廃棄物最終処分場が集積している地域が存在していることが明らかになった。 次に、市町村レベルのクロスセクションデータを20年ごとに構築し、産業廃棄物最終処分場の立地決定要因の変化について空間計量経済分析をおこなった。分析の結果、経済的要因が施設の立地決定に大きく影響していることや、産廃税や搬入規制などの規制が他の地域よりも強い自治体には民間の産業廃棄物最終処分場が立地しにくい傾向にあることが明らかになった。加えて、これらの傾向は20年以上変化していないことも明らかになった。これらの研究結果は、廃棄物処理施設を含めたあらゆる迷惑施設の立地決定問題や、今後の土地利用のあり方について検討する際に有益な視点を提供できるものと思われる。なお、この研究については海外ジャーナルのLand Economicsへ投稿し、現在は審査中である。 さらに、本研究結果を一般廃棄物の廃棄物処理施設の立地決定問題にも拡張させ、今後の人口減少や地方の過疎化によってごみ処理の広域化がさらに拡大することを踏まえ,自治体の組合せや,廃棄物処理施設の立地場所,施設数などといった広域処理政策を効率的に行うための条件について研究をおこなった。
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