本研究では、定型発達者を対象に、「音声言語」や「物体」の視聴覚統合の脳内機構を近赤外分光法(NIRS)を用いて明らかにし、さらに自閉症スペクトラム障害(ASD)との関連性をアナログ研究の手法により検討した。主な結果として、乳児期の視覚機能の発達とともに、まず「物体認識」の視聴覚統合が発達し、続いて言語獲得に向けて、生後8ヶ月から「音声言語」の視聴覚統合が発達することを示した。ASDにおける「音声言語」の視聴覚統合について、McGurk効果を利用して、顔刺激の操作により検討を行い、ASDにおけるMcGurk効果の弱さが顔と音声の視聴覚統合の脆弱性を反映することを示した。
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