研究課題/領域番号 |
16H07209
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
塚原 健太 帝京大学, 理工学部, 講師 (00782426)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 教育史 / 大正新教育 / カリキュラム / 教師の能力形成 / 中・高学年カリキュラム |
研究実績の概要 |
本年度は、中・高学年カリキュラム改革に関する資料調査、日本の事例として取り上げる小学校の学校文書や訓導による著作などの調査、および来年度に渡米調査を予定しているアメリカの事例うち、ゲーリー・プランに関する日本の雑誌記事の調査・収集を行った。 1.中・高学年のカリキュラム改革の問題がどのように発生したか、またそれが全国で認識される過程を検討するために、『教育関係雑誌目次集成』に所収されている雑誌、『中学年教育』『高学年教育』、および全国の師範学校附属小学校が発行していた機関誌の調査によって、関連の雑誌記事を収集した。これにより大正新教育における中・高学年教育に関する全体的な流れを把握することが可能となったため、今後は、カリキュラム改革に関する問題の発生、およびその波及について検討したい。 2.日本の小学校の事例として取り上げる、奈良女子高等師範学校附属小学校の学校文書の調査を、奈良女子大学附属小学校において実施した。また同校を含め、岡崎師範学校、東京女子高等師範学校附属小学校の主事および訓導の著書および雑誌記事の調査を、国立国会図書館、東京都立多摩図書館、東京学芸大学附属図書館にて実施した。また、図書館を通じて入手が困難な著作などは、古書店で探索し購入した。これにより特に、奈良女子大学附属小学校の中合科開発は、それに携わった訓導の以前からの課題意識を明らかにする必要が明らかとなった。 3.ゲーリー・プランに関する情報の日本における普及状況を把握するため、教育関係雑誌の悉皆調査を試み、関連記事を収集した。またゲーリー・プランの特質を把握するための第一段階として、日本での紹介者が参照した資料や、ゲーリー・プランを主題とした先行研究に用いられている資料など、アメリカ側の資料をリスト化し、可能な限り収集するように努めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ計画通りに、調査や資料収集を行うことができた。これにより当時の教育界における中・高学年教育の全体的動向を把握することが可能となった。したがって、今後はそうした全体動向に位置づけながら、事例の特質を検討していきたい。 また、日本側の事例として取り上げる学校および教師の資料収集がほぼ完了しており、彼らが参照したアメリカおよびドイツの教育情報を特定する基盤が構築できた。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通りに、アメリカでの文献調査・収集を通した欧米カリキュラム改革に関する情報の影響、および事例として取り上げる奈良女子高等師範学校附属小学校や岡崎師範学校附属小学校における教師個人のカリキュラム・デザイン過程を考察する。上記の課題に関連して、アメリカでの調査を予定しているため、事例の教師が参照した情報の特定、および日本で収集可能な資料について、可能な限り調査前に閲覧する。
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