本研究では、大正新教育期の小学校教師による中・高学年カリキュラム・デザインについて、欧米のカリキュラム改革に関する情報の影響を視野に入れて考察を行った。その結果、第一に、低学年における教科を廃した生活単元カリキュラム開発の経験が、教科横断的なカリキュラム開発の視点の基礎をつくったこと、第二に、多様な立場の教師が所属する研究組織が、専科教師にも、教科内容を児童の生活との関連で組織することを促したこと、第三に、欧米におけるカリキュラム改革の原理的な考察が、教育目的や教育内容を根本的に問い直すことにつながり、児童の実態に応じた独自のカリキュラム・デザインを可能にしたことが明らかになった。
|