研究課題
低ホスファターゼ症は、硬組織の石灰化不全、呼吸困難、痙攣発作、乳歯の早期脱落を主徴とする遺伝性疾患であり、本邦においては致死性である周産期型や乳児型の頻度が高い。現在、アスホターゼアルファを使用した酵素補充療法が行われているが、酵素の半減期が短いため、長期反復投与の必要性があり、また侵襲性も高い。そこで申請者は、アデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターによる遺伝子治療実験を行うことにより、単回投与で延命効果を得ることに成功している。しかしながら、硬組織石灰化不全の治療効果に関しては課題が残され、低身長や易骨折性、乳歯の早期脱落に対しての有効な治療法はない。したがって、本研究課題では、硬組織に分布するアルカリホスファターゼ(ALP)濃度を上昇させるための至適AAVベクター投与量を検討し、硬組織における石灰化不全の改善の可能性を検証することを目的とした。本年度は、前年度に引き続き、ベクターおよび導入遺伝子産物に対する免疫反応や循環するALP濃度上昇に伴う異所石灰化等の副作用の検証および全身性の安全評価を行うため、呼吸機能や行動解析を行った。その結果、至適AAVベクター投与を行った治療マウスは、低い投与量の治療マウスに比べて、活動量の改善が確認された。また、AAV投与量を増量したことによる異所性石灰化は確認されなかった。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件)
Molecular Therapy methods & Clinical Development
巻: 10 ページ: 361-370
10.1016/j.omtm.2018.08.004.