昨年度に引き続き、学習プログラム試案の洗練を行った。文献検討の結果、我が国でもディシジョンエイドの開発が様々な領域で着手されていることがわかったが、効果検証の結果を報告した論文はほんのわずかであり、開発過程を報告したものが中心であった。今後、国内で効果検証の研究が増える可能性があり、教育プログラムには、質の高いディシジョンエイドの開発方法も紹介する必要性があると判断した。そのため、本研究の立案当初の予定では、エビデンスに関する学習プログラムを提供し評価するところまでを計画していたが、今後の我が国のディシジョンエイド研究にも影響することを踏まえ、本研究の目標を、学習プログラムの内容を洗練し完成することに修正した。 我が国のディシジョンエイドの弱点を把握するため、医学中央雑誌、GoogleおよびPubmedにて、我が国のディシジョンエイドを検索した。入手可能なディシジョンエイド6件を評価対象とし、International Patient Decision Aids Standard Collaborationで開発された国際基準の日本語版(IPDASi ver.4.0)を用いて評価した。評価は6名の意思決定支援研究者で行った。計44項目から成る基準で評価した結果、ディシジョンエイドとみなす上で必要不可欠な資格基準6項目をすべて満たすディシジョンエイドは6件中5件であった。認定基準10項目の平均点がディシジョンエイドとして望ましいとされている3点を超えたものは6件中2件のみであった。この結果から、ディシジョンエイド開発の段階から、質の評価のための国際基準を用いること、および開発の経験のある専門家のコンサルテーションを受けることを推奨する必要性があることが示唆された。これらの結果を踏まえ、エビデンス、開発方法および我が国の研究動向を含む学習プログラムを開発した。
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