1.研究目的:本研究は、温かくて気持ちいい看護技術の効果をモデル化することを目的として質問紙調査を実施した。 2.結果:臨床経験2年以上の看護師100名に、1名につき2件(患者2人)のケア場面についての調査を依頼した。回収数は82名であったが、研究同意に印がなかった6名を除外し、分析対象数は76名(152件)となった。回答者の臨床経験年数は、10年±7年で女性が72名(94.7%)を占めた。65名(85.5%)が日頃から温かくて気持ちいい看護ケアを頻繁に行っていた。 (1)重回帰分析:「温かくて気持ちいい看護ケア」を従属変数とし、「ケアの種類」「10の評価項目」を独立変数とする重回帰分析(変数増加法、投入基準F≦2.0)を行い、Y=0.308×「患者の笑顔」+0.321×「リラックス」+0.147×「関係性が深まった」+0.098×「ケアへの良い評価」+0.522が得られた。R=0.811、R2=0.658で、あてはまりのよい重回帰式となった。 (2)共分散構造分析:Amosを用いた確認的因子分析、ならびに共分散構造分析(一般化最小2乗法)によるパス解析を行った。①「患者の気持ちいい反応の表出」や「症状の改善と気持ちの回復」から、「患者と看護師の関係の発展」へ、そして②「患者の気持ちいい反応の表出」から「ケアの達成感と看護の喜び」を経て「患者と看護師の関係の発展」へ至る2方向のパスを仮定したモデルで分析すると、GFI=.907、AGFI=.865、RMSEA=.049で、データに適合した結果が得られた。 3.研究の意義:これらの結果は、看護ケアの気持ちいい効果を可視化したといえる。日々の看護実践が患者の健康に資していること、そして看護師は患者のよい変化に看護の喜び、達成感を感じていた。また、気持ちいい時間を共有する患者と看護師の関係性が発展することが確認された。
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