研究実績の概要 |
本年度は,(3)有効性の検証を,[(3-a)手法の有効性の検証]と[(3-b)結果の解析:実際の手術室の運営に役立つ情報や知見の抽出]とに分け,以下のように遂行した. (3-a)手法の有効性の検証として,実データを用いた計算実験を行った.実データとして,昨年度の研究成果(Ito et al., 2016)の手術の所要時間の分布を用いた.本分布より,手術の所要時間の確率分布や複数の手術の所要時間の組み合わせによるシナリオを生成した.計算実験の結果,手術の所要時間の不確実性を考慮した単一の手術室のスケジューリングは,実用的な時間内で解を得ることができた.また手術室の管理者が手術の所要時間の大幅な延びを回避したい度合いによって,提案モデルを用いて作成された最適なスケジュールに違いが生じた.さらに,手術の資源として重要な,血液製剤に関する在庫管理モデルや研修医の外科や内科などの実習と当直シフトスケジューリング手法を提案し,それらの手法の有効性を示した. (3-b)結果の解析として,実際の手術室の運営に役立つ情報や知見を抽出した.計算実験の結果より,手術室のスケジュールの変更を防ぐためには,手術の所要時間の分散が大きい手術は予定終了時刻を超える可能性が高いため,他の手術の開始時刻に影響を及ぼすことがないように,開始時刻が遅くなるようなスケジュールが最適であるという知見を得ることができた. 本年度は,上記の成果の一部を,講演会や国際学会,論文誌にて発表を行った.
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