研究課題/領域番号 |
16H07238
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
深尾 紗央里 東京理科大学, 研究推進機構生命医科学研究所, 研究員 (20778914)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | B細胞 / 免疫応答 |
研究実績の概要 |
免疫応答において濾胞ヘルパーT (Tfh) 細胞は様々なサイトカインを産生することで、B細胞によるIgGやIgEなどの抗体産生の種類を決定する。一方でTfh細胞の適切な分化にはB細胞との相互作用による様々な刺激が必須であることが明らかになっているが、IFNγ、IL-4、TGFβ、IL-21など、特有のサイトカインを産生するTfh細胞サブセットの決定にB細胞がどのような寄与をするかは十分に理解されていない。 本申請では “B細胞とTfh細胞の相互作用の質が、Tfh細胞のサブセットを制御し、その結果として抗体産生のバランスを制御する”という仮説に基づき、B細胞によるTfh細胞のサブセット制御機構およびB細胞によるTfh細胞制御の生体内における意義を明らかにすることを目的としている。本年度は① Tfh細胞のサブセット制御においてB細胞はどのような役割をするか、また② B細胞がどのような分子を介してTfh細胞のサブセットを制御するかを明らかにすることを目標とした。 申請者らはプロテインキナーゼCδ(PKCδ)を介したシグナルがB細胞の活性化時に共刺激分子やサイトカインの発現変化を誘導し、その発現変化が、Tfh細胞との相互作用の際にTfh細胞のTh2サイトカイン産生の促進およびTh1サイトカイン・IL-21産生の抑制を誘導し、その結果IgE産生の誘導やIgG1・IgG3産生を抑制する、と予想して、B細胞特異的にPKCδを欠失するマウスにおいてTfh細胞における遺伝子発現を比較した。B細胞特異的にPKCδを欠失するマウスではTfh細胞の割合が増加しており、IL-21の発現が亢進していた。また予想に反して、IL-4の発現も亢進していた。このことから、PKCδ欠損B細胞はTfh細胞のサブセットではなく、活性化を広く促進する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請者らはPKCδをB細胞特異的に欠失させたマウスにおいて、T細胞依存性免疫応答におけるIgG1 (特に高親和性のもの) およびIgG3の産生が亢進し、IgE産生が著しく低下することを過去に見出していた。さらに細胞移入の実験結果から、PKCδ欠損B細胞が生体内で他の細胞に影響を与え、IgGの産生を促進し、IgEの産生を抑制する可能性が示唆されていた。そこでB細胞特異的にPKCδを欠失するマウスにおいてTfh細胞のサブセットが変化すると予想して解析したところ、PKCδ欠損B細胞がTfh細胞のサブセットではなく、Tfh細胞の活性化を広く促進する可能性が示唆された。当初の予想とは反していたが、PKCδ欠損B細胞はTfh細胞を制御していたことから、今年度は当初の計画通り、病態形成におけるTfh細胞の制御においてB細胞はどのような寄与をするか、と自己免疫疾患およびアレルギー疾患における新たな遺伝子要因の同定に取り組んで行きたい。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの結果から、PKCδ欠損B細胞はTfh細胞の活性化を促進していると考えられる。そこで現在PKCδ欠損B細胞におけるどのような分子の発現が重要であるか、検討を行っている。また今年度は当初の計画通り、病態形成におけるTfh細胞の制御においてB細胞はどのような寄与をするか、と自己免疫疾患およびアレルギー疾患における新たな遺伝子要因の同定に取り組んで行きたい。
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