• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2016 年度 実績報告書

データの自動収集技術に関するプライバシー・個人情報保護制度の各国比較

研究課題

研究課題/領域番号 16H07246
研究機関日本大学

研究代表者

小向 太郎  日本大学, 危機管理学部, 教授 (30780316)

研究期間 (年度) 2016-08-26 – 2018-03-31
キーワード個人情報保護 / プライバシー / ビッグデータ / IoT / 利用目的
研究実績の概要

2016年度は特に、IoT、AI,ビッグデータ等の新技術によって新たに生じている問題とその対応策について、諸外国の動向を調査・研究するとともに、わが国における制度整備や法適用の状況を検討し、問題点や課題を抽出した。
個別のテーマとしては、個人情報漏洩、ネットワーク接続機器の位置情報、インターネット上における青少年保護等にフォーカスし、それぞれ論文や研究ノートにまとめるとともに、学会・研究会等における報告を行っている。IoTにおけるプライバシー・個人情報保護の問題や米国連邦通信委員会が新たに導入したプライバシー政策に関する論文も投稿中であり、次年度に掲載予定である。
特に注力したのは、情報の自動収集技術の進展と個人情報利用における本人の意思反映の問題である。こうした技術においては,利用者等があまり意識することなく情報を収集されていることも多く,従来とは違ったプライバシーや個人情報に関する懸念も大きくなっているからである。
具体的に整理すると、(1)自分の情報が知らないうちに勝手に使われてしまう、(2)情報利用を拒否することが難しい、(3)人に知られたくない情報が使われてしまう、と言った懸念が広く課題として認識されており、各国の制度において個人情報の本人の意思をどのように反映させるべきかということが議論されている。個人情報保護制度において、本人の意思の尊重が重要であることに争いはないが、各国の制度はこの点でもかなり異なる。こうしたアプローチを比較する研究は従来行われてこなかった。
2016年度の研究では、特に各国の個人情報保護制度における利用目的規定について基本的な調査と整理を行い、我が国における問題点を明確にすることができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

当該年度の研究においては、特に、IoT、AI,ビッグデータ等の新技術によって新たに生じている問題とその対応策について、諸外国の動向を調査・研究するとともに、わが国における制度整備や法適用の状況を検討し、問題点や課題を抽出した。当初予定していた問題点や懸念の抽出のための調査は順調に進められ、成果を取りまとめたアウトプットの公表にもつながっている。反省点としては、海外向けの英語論文で単著がなかったことがあり、次年度は海外での発表件数も増やし、グローバルな情報発信を一層心がけたい。全体として評価すると、当該年度の研究は概ね順調に進展しているものと考えられる。

今後の研究の推進方策

今までに抽出された問題点や懸念に関して、米国およびEUの制度とその運用の状況を調査し、比較検討を行う。最新の議論状況を確認するために、2017年9月に香港で予定されているThe International Conference of Data Protection and Privacy Commissioners等の国際会議に参加して、キャッチアップするほか、国内の学会研究会等での報告を積極的に行い、関連分野の研究者と議論を重ねる。
米国については、消費者プライバシーを所轄するFTCがIoT等の新しい問題についても詳細な検討を行っており、これらの検討状況と法執行の動向に重点を置いて調査を行う。
EUについては、2016年4月に採択され新たなデータ保護の枠組みとなるデータ保護規則の内容とその運用動向に重点を置いて調査を行う。そして、調査結果を取りまとめ、データ自動収集技術による情報の収集・利用に関する各国制度や運用の動向に関する比較検討を行い、研究目的で述べた課題に関する方向性を見いだす。
これらの研究を論文としてりまとめ、研究成果として学会での報告および論文の公表を行うこととしたい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2017 2016

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 4件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] インターネット上における青少年保護に関する制度の動向2017

    • 著者名/発表者名
      小向太郎
    • 雑誌名

      危機管理学研究

      巻: 創刊号 ページ: 114-125

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] A Comparative Legal Study on Data Breaches in Japan, the U.S., and the U.K.2016

    • 著者名/発表者名
      Kaori Ishii, Taro Komukai
    • 雑誌名

      “Technology and Intimacy: Choice or Coercion”・Springer International Publishing

      巻: HCC12 ページ: 86-105

    • DOI

      10.1007/978-3-319-44805-3_8

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ネットワーク接続機器の位置情報に関するプライバシー・個人情報保護制度の動向2016

    • 著者名/発表者名
      小向太郎
    • 雑誌名

      研究報告電子化知的財産・社会基盤(EIP)

      巻: 2016-EIP-74 ページ: 1-6

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] シンクタンクと情報法研究2016

    • 著者名/発表者名
      小向太郎
    • 雑誌名

      電子情報通信学会技術研究報告

      巻: 116 ページ: 77-79

    • オープンアクセス
  • [学会発表] ネットワーク接続機器の位置情報に関するプライバシー・個人情報保護制度の動向2016

    • 著者名/発表者名
      小向太郎
    • 学会等名
      情報処理学会 電子化知的財産社会基盤 -EIP 研究会
    • 発表場所
      長崎歴史文化博物館
    • 年月日
      2016-11-17 – 2016-11-17
  • [学会発表] Comparative Legal Study on Data Breach among Japan, the U.S., and the U.K2016

    • 著者名/発表者名
      Kaori Ishii, Taro Komukai
    • 学会等名
      IFIP TC9 Human Choice and Computers Conference
    • 発表場所
      英国マンチェスター サルフォード大学
    • 年月日
      2016-09-08 – 2016-09-08
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2018-01-16  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi