研究課題/領域番号 |
16H07255
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
吉本 光希 明治大学, 農学部, 専任准教授 (40399316)
|
研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
|
キーワード | タンパク質分解 / オルガネラ / 老化 / 細胞死 / オートファジー |
研究実績の概要 |
申請者はこれまでにオートファジー不能であると暗処理によって誘導される細胞死が促進することを明らかにしてきたが、そのメカニズムについては明らかとなっていない。本研究では、そのメカニズムを分子レベルで明らかにすべくオートファジー変異体のサプレッサーを取得し、その原因遺伝子を単離・同定することで植物オートファジーの生理的役割の解明、さらには暗処理誘導型老化過程の新たな分子機構の解明に向けた基盤技術の確立を目指している。 今年度までにオートファジー変異体の暗処理誘導型老化促進表現型が回復したサプレッサー(Sup)を6個体取得し、それらの原因遺伝子の一部を特定した。 Sup-73、Sup-66.3に関して、複数の変異箇所が見つかったことから、戻し交配により一か所だけ変異を持つ植物個体を選抜している。CAPSマーカーが存在しなかったため、PCRで変異箇所周辺を増幅し、増幅産物のダイレクトシーケンスによって変異を確認した。これまでに、ある遺伝子座はホモに、もう一方はヘテロに変異を持つ個体を選抜しているので、次の世代で一変異のみを持つ個体を選抜することが可能である。 今後は、分離させた変異体を用いて表現型を精査し、老化表現型を抑制する遺伝子変異を同定する。その遺伝子産物とオートファジーに関わりがあるのかを共焦点レーザー顕微鏡を用いて細胞内共局在を精査することで確認する。最終的には植物個体でのオートファジーによる高次機能発現を分子レベルで理解することを試みる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究場所を移動したことから老化促進表現型の観察する条件が異なり、これまで見られていた表現型を再現できなくなってしまった。表現型観察条件の検討を再度行ったことから当初の予定よりもやや遅れている。
|
今後の研究の推進方策 |
今後も引き続き3つのサプレッサー(Sup-73、Sup-161、Sup-66.3)に注目し、解析を行う。 複数の変異箇所を戻し交配で分離させ一か所だけ変異を持つ植物個体を用いて表現型を精査し、老化表現型が抑制される変異を同定する。 植物ホルモンの受容体と思われる遺伝子に変異が導入されていることから、それら植物ホルモンによってオートファジーが誘導されるのか、オートファジー可視化植物(GFP-ATG8発現植物)を用いて精査する。これにより暗処理誘導型老化過程の制御機構の解明に新たな手がかりを与えることができるかもしれない。
|