本研究は、アメリカ占領期の沖縄高等教育政策に焦点をあてた、冷戦期の軍産学複合体研究の一環である。アメリカは政治・経済・軍事だけでなく、文化、教育も含むヘゲモニーの確立を目指す文化冷戦において、最大限の効果を発揮するため、非政府組織まで動員し、世界の人々の親米化に努めた。アメリカ陸軍省は、沖縄高等教育政策においても、軍産学のネットワークを利用し、学生留学事業やアメリカ的教育の普及事業を展開した。琉球大学は、MSUやロックフェラー財団等の支援により、開学10年で大学の体裁を整え、地元産業を支えるエリートを輩出したが、親米エリート育成という面では、USCARの期待通りの成果ではない点を明らかにした。
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