本研究の目的は,総合診療を行なう「家庭医療専門医」(以下家庭医)を対象に,そのコミュニケーションを解明することだった.具体的には,第一に,医師が患者の主訴をどのようにとらえるのかを目指した.第二に,患者はどのように自身の困難を医師に伝えることができるのかをあきらかにしようとした.そのために,必要な先行研究の整理とその集約,および実際の診療場面の取材,会話分析の手法による分析を行なった. 研究成果として,論文を三本執筆し,学会発表を三件行い,そして英語論文を一件翻訳し発行した.論文のうちの一本は,査読誌に掲載され,ケア実践を身体的相互行為としてとらえ,ジェンダー論にも関わる論点を提起した.
|