研究課題
前年度で実施したCT用集積回路(LSI)の性能評価をさらに詳細に進め、16系列シンチレータアレーおよび MPPC(Multi-Pixel Photon Counter) アレーを組み合わせた1次元CTアレーを構築し、エネルギー分解能および高カウントレート耐久性の評価を実施した。その結果、スペクトラルCTを実現するに足るエネルギー分解能を達成しており、カウントレートに関しては~10 MHz/mm^2 を達成していることがわかった。このレートは、現行のX線CTでの~100 MHz/mm^2 に比べるとおよそ一桁低いものであるが、前年度に検証したスペクトラルCTによる低被ばく化の効果を考えると、十分許容される性能と思われる。そして、このMPPC方式CTアレーを用いて、読み出しシステムを含むCTデータ取得システムを新たに構築し、多色3次元CTイメージの取得に初めて成功した。特に、アレーシステムにおいて、単ピクセルで得られた低被ばく化の性能と遜色ない結果を得ることができたことは特筆に値する。また本研究で開発したLSIは、光子を個別に検出するフォトンカウンティングモードに加え、電流値として積分するモードも実装されており、両方のモードを比較し暗電流成分が寄与しないフォトンカウンティングモードが最も優れた低被ばく化を実現できることを見出した。さらに複数のエネルギー帯域でイメージを取ることで、複数の素材で構成されたファントム(ライターなど)の物質同定を行うことにも成功した。また内部構造まで3次元的に1 mm の精度でイメージングを行うことができており、今後の人体を模したファントムのイメージング試験に向けて、基盤となる評価結果を得ることができた。一方で、系列間でエネルギー閾値などの性能にばらつきがあり、今後はこれらを改良した補正機能を設けていくことでさらなる高精度CTイメージングを目指す。
29年度が最終年度であるため、記入しない。
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Isotope News
巻: 755 ページ: 25-29
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
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https://doi.org/10.1016/j.nima.2017.11.031