本研究は全般的目標である市場シェアを構成する2つの下位目標(新規顧客の獲得および既存顧客の保持)が企業によるその市場での営業職員の配分へ与える影響を分析している。2000年から2015年までの日本の生命保険会社を対象に、企業-都道府県を分析単位とするパネルデータを公刊資料に基づいて作成した。マルチレベル・モデリングによる回帰分析を行った結果、企業は全般的目標のアスピレーション・レベルよりも、むしろ下位目標のそれに反応していることが示唆された。また、下位目標からのフィードバックはアスピレーション・レベルが満たされると強まること、および「既存顧客の保持」の目標が優先されることを見出した。
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