近年の先進諸国では、これまで自明視されてきた「近代家族」の情緒的関係のあり方が 大きく揺らいでいる。しかし日本では「近代家族」の規範が未だに根強く、その歴史的な特徴を可視化する研究が求められている。本研究はこれまでほとんど顧みられてこなかった日本の伝統的家族である「家」制度の情緒的関係に着目し、その規範の発生及び変遷とを明らかにすることで、日本家族の情緒的関係に関する基礎的視角を確立することを目的とする。具体的には、法的な家制度が形成された 1880年代から、民法改正を経て家制度の存続が問題化した1950年代までの時期を中心に、家制度の情緒的関係の規範の発生及び変遷を明らかにした。
|