本研究では慢性心不全高齢者の症状増悪に関連するフレイルの要素 (①非意図的な体重減少、②活力低下、③身体不活動、④歩行速度低下、⑤筋力低下)を同定および改善介入プログラムの効果検証を行うことを目的とし、本年度では、どのフレイルの要素が心不全高齢者の症状増悪に関連し、心不全による入院発生リスクを高めるのかを明らかにすることを主な目的に行った。 本年度は、慢性心不全高齢者206名を対象に、フレイルの5要素、および身体機能、認知機能、身体組成、心エコー検査、血液データを測定した。その後、6ヶ月間の心不全症状増悪による入院発生の有無を追跡調査し、6ヶ月後には心不全重症化の指標として血液データを採取した。 横断データに関して分析を行い、心不全重症度の指標であるBNPはフレイルの構成要素の中でも歩行速度低下と関連し、その関係には運動耐容能低下が介在することが示唆された。この内容は、国際誌「Journal of Geriatric Cardiology」に採択されている。 また、6ヶ月間の追跡調査結果、フレイルと運動耐容能低下が併存することにより、心不全症状増悪による入院発生のリスクが高まることが示唆された。本調査結果は、国際誌への投稿に向けて論文化を進めている。
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