口腔内で用いられる歯科矯正装置は,タンパクやプラークの付着により,摩擦が増加し治療期間が延びてしまう. 本研究では,水晶振動子マイクロバランス(QCM)法を用いてステンレス鋼(SUS),ダイヤモンドライクカーボン(DLC),フッ素添加DLC(F-DLC)膜へのタンパク吸着を評価した.各センサーは,表面性状の観察と表面粗さ,表面の濡れ性および表面自由エネルギーを計測した.アルブミンのDLCおよびF-DLCへの吸着量は,SUSよりも有意に低く,DLCまたはF-DLCコーティングは,歯科矯正装置へのタンパク質吸着を防止するのに有効である.その結果,矯正治療期間の短縮に寄与することが示唆された.
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