本研究課題は,扁平足に起因する膝蓋大腿関節症の発生メカニズムを解明するため,ランニング中における下腿と後足部間の協調性パターンや膝関節モーメント,膝蓋大腿関節ストレスを検証するものであった. 初年度においては,正常足における後足部と下腿間の協調性パターンを検証し,従来報告されていた運動連鎖パターンに加えて下腿内旋と後足部回外,下腿外旋と後足部回内のパターンもありことを明らかにした.さらに,ランニング中の足部の動きには性差があることも報告した.この成果を基に,扁平足における下腿と後足部間の協調性パターンも検証しようとしたが,扁平足を扁平足と判定する日本人に特異的な足部評価の基準値が報告されていなかった.そこで,当該年度は日本人男女の220足を対象に,日本人のarch height indexの基準値を検証した.その結果,正常足と扁平足を分類する際,人種に特異的な,日本人のarch height indexの基準値を用いる必要性があることが明らかになった.現在この基準値を用いて正常足と扁平足を分類し,ランニング中における下腿と後足部間の協調性パターンや膝関節モーメント,膝蓋大腿関節ストレスを検証している.
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