成長期の少年野球選手において,肩や肘の障害は多く発生する,特に筋骨格系の変化が著しく骨の成長過程にある中学生野球選手において,繰り返しの投球ストレスが投球障害につながる可能性が考えられるが,大規模な疫学調査や前向き研究は行われていない. 本研究は,骨端線閉鎖前の中学野球セン主における,投球障害の疫学調査および障害発生の危険因子の解明を目的とした. 平成28年度は,中学野球選手における投球障害発生状況の実態把握のため,メディカルチェックを硬式野球5チーム(計120名)に対し実施した.測定項目として,超音波画像所見,理学所見,身体所見および投球フォーム撮影を行った.結果,投球時肩痛既往のある選手が2割,肘痛既往のある選手は5割存在し,全体で7割の選手が肩肘いずれかに投球時肩痛の既往があることがわかった.現在得られた結果について,学会発表(第44回日本肩関節学会;第14回肩の運動機能研究会)を予定している. 今後は,前向きな追跡調査による新たな障害発生について調査し,障害発生に関わる因子の検討をしていく予定である.
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