本研究の目的は、わが国企業の設備投資が株式市場でどのように評価されているかを実証的に明らかにすることである。設備投資は、企業が持続的な成長を達成するうえで必要不可欠なものである。内閣府および経団連も、日本経済の発展のために、設備投資を現状より拡大させる重要性を指摘している。このような背景から、近年の企業の設備投資は増加傾向にある。しかしながら、設備投資が必ずしも将来業績の向上に貢献するとは限らない。いくつかの先行研究では、大規模な設備投資が将来業績の低下をもたらすことが指摘されている。このような設備投資の実態を、株式市場はどのように評価しているのか。 本年度は、以上の研究課題に取り組むために必要なデータの整備を行った。具体的には、研究費から購入した「日経NEEDS-FinancialQUEST」および統計ソフト「Stata」を利用して、上場企業の財務データおよび株価データを取得し、実証分析に必要なデータを整理あるいは加工した。なお、設備投資の内容については、当該データベースから取得できないため、各企業の有価証券報告書を参照して、手作業でのデータ収集を行った。さらに、設備投資が株式市場に及ぼす影響を検証した先行研究を渉猟した。これらの作業をベースとして、次年度では、本格的な実証分析に着手することにする。現在、実証分析を順調に進めており、数本の論文投稿に加えて、所属学会あるいは研究会での報告を数回予定している。
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