研究課題/領域番号 |
16H07318
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研究機関 | 名古屋女子大学 |
研究代表者 |
青佐 泰志 名古屋女子大学, 家政学部, 講師 (50775971)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 栄養学 / ストレス / 生体機能利用 / 解剖学 / 内科 |
研究実績の概要 |
本年度は、大分大学医学部分子解剖学講座の藤倉教授から必要な研究サンプルを可能な限り提供してもらった。実験動物は、Wistar系雄性ラット10週齢を用い、持続照明環境として照明の強さを150-200Luxの環境下にて4週間飼育した。飼育期間中は標準固形飼料を自由摂取させた。経過観察中の実験動物の体重の変化は、持続照明環境を負荷した群において有意な体重の増加を示した。しかし、24時間あたりの摂食熱量は群間に有意な差は認められなかった。所定の飼育期間経過後、実験動物を深麻酔下にて開胸し、門脈血の採血後、左心尖部より灌流を行った。その後、肝臓および肩甲骨下部の褐色脂肪組織を30mg程度の重量で抽出し、液体窒素にて凍結させ、-80℃にて保存した。一方、4% Paraformaldehydにて灌流固定し、肝臓を抽出し、パラフィン包埋法に則って、組織標本を作製した。組織ブロックは、ミクロトームにて5μmの薄切切片を作製し、スライドグラス上に静置した。組織標本はHE染色を施し、生物顕微鏡にて観察を行った。肝組織の小葉のうち、門脈域と中心静脈周囲に焦点を絞った。それぞれの血管周囲に脂肪沈着を認め、特に中心静脈周囲には肝細胞の核を偏在させる大型脂肪滴が存在した。類洞は若干の拡大を認め、炎症性細胞の軽微な浸潤所見を認めた。他方、肝細胞の壊死、Mallory小体および風船様に腫大した所見は認められなかった。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の病態進行後は、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に進展することから、肝組織中の線維化の評価が必要である可能性があると考えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成28年度は、実験計画を推進するため、Wistar系雄性ラットの飼育室の照明環境を持続的に明期に置き換え、4週間飼育した。実験動物一検体あたり4サンプルを抽出し、液体窒素中にて凍結させた後、-80℃以下で保存した。さらに、織標本用に肝臓を抽出し、4% Paraformaldehydにて24時間浸漬固定し、組織標本はパラフィン包埋法に則り、薄切切片組織標本を作製し、HE染色像を生物顕微鏡にて観察した。一方、当初の計画では、実験動物一群あたりN=10の検体を予定していたが、一群あたりN=4と検体数に若干の変更が生じた。この理由として、麻酔装置等の研究備品および消耗品の整備の遅れが原因として考えられるが、本研究課題の進行を妨げるものではないと判断した。他方、観察した肝組織のうち、炎症性細胞の浸潤所見が軽微な組織標本があった。本研究のストレス応答には個体差が生じることが考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
照明環境を持続的に明期に置き換えた実験動物の体重は、通常明暗周期群と比較して有意に増加した。一方、肝組織標本のうち門脈域と中心静脈周囲における病変は、脂肪滴の沈着を認め、特に中心静脈周囲には肝細胞の核を偏在させる大型脂肪滴が存在した。類洞は若干の拡大を認め、炎症性細胞の軽微な浸潤所見を認めた。肝細胞の壊死、Mallory小体および風船様に腫大した所見は認められなかった。これらのことから、肝組織全体の炎症反応の惹起は軽微である可能性が考えられた。門脈血を採血し、ELISAにてサイトカイン濃度を定量する。また、実験動物の体重の増加傾向および肝組織中の脂肪沈着が顕著であったことから、体内脂肪の過剰に蓄積していることが考えられた。事前に実験動物の肩甲骨下部の褐色脂肪組織を摘出していることから、脱共役タンパク質(Uncoupling protein:UCP)-1の定量し、実験動物の熱産生機構の解析を分子生物学的に行う必要があると判断した。具体的には、抽出した褐色脂肪組織のタンパク質を抽出し、Western Blotting法にてUCP-1の発現量を検討する。NAFLDは、生活習慣病関連疾患に位置づけられ、病態背景に肥満や脂肪肝をはじめ、内臓脂肪の蓄積が深く関連することから、本研究課題の熱産生機構の解析は意義深いと考えられる。以上のことから、平成29年度は、照明環境を持続的に明期に置き換えた実験動物の体内脂肪分布の解析を計画に取り入れて推進する。他方、当初の計画では、実験動物一群あたりN=10の検体を予定していたが、一群あたりN=4と検体数に若干の変更を生じたため、麻酔装置等の研究備品および消耗品の整備を推進し、所定の検体数の確保に努めたい。
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