研究課題/領域番号 |
16H07319
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研究機関 | 愛知淑徳大学 |
研究代表者 |
ワクダ マサキ 愛知淑徳大学, 文学部, 助教 (40780169)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 国文学 / 伝記 / 書誌 / 出版 / 上方 / 江戸 / 大番 / 書簡 |
研究実績の概要 |
1.江戸時代中期の文人旗本三橋成烈(みつはしなりてる、1726~1791)が安永期(1772~1780)の大坂在番中に江戸在住の親族朋友と交わした往復書簡集『飛檄』『飛檄随筆』の校注作業を行った。具体的には、(1)星槎大学星槎ラボラトリー蔵『飛檄』(原書簡の合綴本1冊)と東京国立博物館蔵『飛檄随筆』(転写本1冊)の全文を、紙焼写真をもとに読解、翻字した。(2)紙焼写真が不鮮明であった箇所や、ノドにかかっていて読めなかった箇所を、原本で確認した。(3)『飛檄随筆』は、転写本という事情もあって、誤写や誤脱が少なくない。そのため、早稲田大学図書館蔵の異本『飛檄帖』(転写本3冊)と対校、異同状況を注記した。(4)上記を踏まえて、両書の全文に施注(作業は現在も継続中)、人名索引・書名索引・三橋成烈略年譜の粗稿を作成した。(5)注釈の内容を充実させるべく、関連資料を調査収集した。 2.1.の作業を通して得られた情報をもとに、成烈作品の読解を行った。具体的には、(1)『続新斎夜語』第九話が太宰春台著『弁道書』や林笠翁著『仙台間語』と多く重なることを指摘、作品の背後にあった成烈の交友圏を確かめたうえで、作品の解釈を試みた。上記については、上方読本を読む会で報告を行った。(2)『続新斎夜語』第二話が中井甃庵著『五孝子伝』の改作であることを指摘、作品の背後にあった成烈の交友圏を確かめたうえで、作品の解釈を試みた。上記については、東海近世文学会で報告を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『飛檄』『飛檄随筆』の全文の校注を行い、目次・解題・人名索引・書名索引・三橋成烈略年譜を添えて、資料集として世に出すことを目指している。今後、大幅な増補改訂が必要ではあるけれども、その粗稿が出来たから。
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今後の研究の推進方策 |
1.前年度に引き続き、『飛檄』『飛檄随筆』の校注作業に取り組む。本文部分、注釈部分ともに、繰り返し点検を行い、精度の向上と内容の充実とを図る。また、人名索引・書名索引・三橋成烈略年譜の粗稿に修正を加え、目次と解題の執筆を行う。 2.1.の作業を通して得られた情報をもとに、成烈作品の読解をさらに進める。
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