研究課題/領域番号 |
16H07320
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研究機関 | 豊田工業大学 |
研究代表者 |
八尾 惇 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), ポストドクトラル研究員 (70779074)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 磁性材料測定 / 高周波 |
研究実績の概要 |
本研究では、高周波変圧器の実現を目指し、磁性体研究を行っている。本年度、得られた具体的な成果としては、(1)軟磁性材料のブロックコアの基礎特性、(2)高温環境におけるインバータ励磁下の電鋼板鉄損特性の2点である。 (1)の軟磁性材料のブロックコアの基礎特性では、ワイヤー加工後、端面処理 (エッチング処理)をし、作製したアモルファスコア、ナノ結晶コアを用い、鉄損特性の基礎的知見を得た。ここでは、次年度以降の検討であるキャパシタを用いた場合についても、併せて予備検討を行った。 (2)高温環境におけるインバータ励磁下の電鋼板鉄損特性では、磁性材料の電気導電率が下がるため、基本周波数に起因するメジャーループの保磁力が下がり、キャリア周波数に起因するヒステリシス曲線のマイナーループは小さくなることが明らかとなった。また、磁束密度最大および最小値付近では、 磁化モーメントの方向を揃えるためのエネルギーが、室温時と比較し、より多く必要となることがわかった。高温下では、ヒステリシス曲線のマイナーループが縮小することにより、室温と比較し、鉄損値が小さくなることもわかった。以上の結果をまとめ、電気学会の研究会 (電気学会回転機/リニアドライブ合同研究会)にて発表した。高周波励磁下では、コアから生じる熱の影響が測定に大きく影響を及ぼすこともわかった。したがって、今後、熱の影響によるコア特性の変化を加味し、高周波変圧器を検討していく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度は、高周波変圧器の実現を目指し、以下の2つの成果を得た。 (1) 軟磁性材料のブロックコアの基礎特性を得た。 (2) 高温環境におけるインバータ励磁下の電鋼板鉄損特性を得た。当初計画では、熱の影響を大きく見積もっていなかったが、実験中に熱の影響を検討する必要があることがわかり、検討を行った。結果として、高温環境におけるインバータ励磁下では、キャリア周波数に起因するマイナーループが小さくなることが新たに明らかとなった。この結果は、当初の想定を超えた結果となった
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今後の研究の推進方策 |
本年度は、目的の中で高周波変圧器のための磁気特性の体系的評価を検討する。前年度、ワイヤー加工後、端面処理 (エッチング処理)をし、作製したアモルファスコア、ナノ結晶コアを用い、特性評価を行う。ここでは、コアとして、積層型のブロックコアを使用し、基本特性を把握する。特に、高周波領域において、鉄損の評価を行う。以上の結果を元に、コアの設計指針を検討していく。 前年度の高周波下の予備検討において、コアから生じる熱の影響が測定に大きく影響を及ぼすことがわかった。したがって、併せて熱の影響によるコア特性の変化も検討する。 また、目的の中で広帯域化及び歪み抑制の実現も併せて検討する。
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