【1.索引作成】桃源瑞仙『史記抄』のことわざ・慣用句の索引作成を中心としつつ、前年度草稿を作成した書名・人名索引の改訂を行った。 ことわざの索引作成に当たっては、「~ト云」等の表現とともに用いられるなど、人口に膾炙していることが文脈上明らかなものを優先して採録した。また、慣用句の索引作成に当たっては比喩表現を優先して採録した。 人名索引作成に当たっては、採録対象を絞り込んだ。『史記抄』はその原典の性質上、人名がきわめて多く登場する。同じ人名が繰り返し現れることも珍しくないが、それらをすべて採集した場合、手間は増えるものの作成後の検索の利便性が大幅に増すとは考えにくい。そこで、日本の人名は必ず採集し、中国人は当該の『史記』原文には登場しない人物を可能な限り拾うこととした。例えば、杜甫や蘇東坡の名がその詩とともに言及されることが少なくない。それらを採録することで、今後、室町時代の禅林でどのような漢詩人がどのように受容されたかを考える手掛かりを得ることができると考えたためである。 【2.索引作成に基づく研究成果の公表】以上の索引を作成することと平行して、抄物の概括的な知識を得ることに努めた。そこへ昨年度に引き続き、抄物の概説を講義する機会を与えられた。それが、訓点語学会講習会として行われた「抄物入門」のうちの「抄物の基礎知識」である。これは、抄物全般を取り扱う上での注意点をまとめたものである。その中には桃源瑞仙や『史記抄』に関する事柄も含まれるため、本課題による研究を大いに活かすことができた。 また、作成した索引を活用して「桃源瑞仙「史記抄」のことわざ「袴下辱」について」を執筆した。現在、申請者は抄物研究会に参加しており、索引を参加者に活用してもらうことを予定している。その後、索引の内容に磨きをかけ、公表することを検討している。
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