研究課題/領域番号 |
16H07332
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
塚田 雄一 同志社大学, 文学部, 助教 (60780294)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 演劇 / 出版文化 / ロンドン / ジェイムズ朝 |
研究実績の概要 |
本研究「17 世紀初期ロンドンの演劇出版文化とその政治性について」は、ジェイムズ一世の治世初期にロンドンで出版・再出版されたエリザベス朝期の劇作品およびそれらが生んだ模倣作品を、前君主エリザベス一世へのノスタルジアという当時の一大社会現象という文脈において、読み直し、これまで注目されてこなかった出版文化と社会・政治潮流の密接な繋がりを明らかにするとともに、これらの劇作品が短期間に次々と出版・再出版された背景に、ノスタルジア現象の高まりがあったという新しい説を呈示・論証することを目的とする。 本年度は、第一部「出版文化とノスタルジア現象」に関する研究・執筆を主に行った。はじめに、Farmer、Zachary、Peter Blayney らの先行研究を検討して、出版市場がどのように機能したかを把握するとともに、The English Short Title Catalogue、Early English Books Online、Database of Early English Playbooks をはじめとした書誌情報データベースを活用して、ジェイムズ朝期に出版された宗教関連書、詩集、演劇を調べ、エリザベス一世のプロテスタント主義へのノスタルジアが色濃く出ている作品を収集した。当時、演劇以上に市民に好んで読まれ、出版文化の要となっていた宗教関連書や詩集を分析することで、後の考察に必要となる出版文化とノスタルジア現象の関係性の全体像を描き出すことができた。 次に、第二部「ロンドンの書籍商」にも着手し、第一部で描き出した出版文化を担っていた重要な書籍商にしての調査を開始した。 これらの研究に取り組む過程において、本年度は、当初の研究計画通り、英語論文を3本完成させ、それぞれ学術誌に投稿した。現在、査読中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、英語論文を3本完成させることができた。現在、査読中である。
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今後の研究の推進方策 |
第二部「ロンドンの書籍商」の研究を継続するとともに、第三部「劇本出版・再出版の政治学」に取り組み、三部から成る本研究を完成させる。第一部で出版文化の全容を、第二部でその出版文化を支えていた書籍商を描き出したことで、第三部ではこれまで注目されてこなかった劇作品とノスタルジア現象の関係をより鮮明を示すことができると考えている。
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