研究課題/領域番号 |
16H07335
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
山崎 晴彦 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (10780900)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | 磁気機能性流体 / 非共沸 / 沸騰気泡 / CIP法 / Level Set 法 / 沸騰熱輸送 |
研究実績の概要 |
本研究では,磁気機能性流体の沸騰現象を計測し,そのメカニズムを解明することを目的として,磁気排除効果を用いた新しい熱輸送装置を提案することを目指している. 本年度は,主に非一様磁場下における気泡生成のメカニズムについて実験的,解析的に調査を行った.実験装置として,近赤外線光を光源とした可視化装置を試作し,黒色不透明な磁気機能性流体中の気泡の可視化を行った.その結果,気泡に作用する力の釣り合いおよび磁気圧を考慮することにより,磁場下における気泡径は圧力と密度,磁場の関数で表されることが判明した. また,流体計算として,移流項にCIP法を用いるVSIAM3法および気液界面の補完にLevel Set法とVOF法を組み合わせたCLSVOF法,磁場計算として自己修正法を用いて,流体・磁場カップリングした数値解析的調査を行った.その結果,液相側に磁気圧力が作用することにより,無磁場時に比べ,磁場下では,磁場勾配方向に対して気泡が伸長し,気泡が早く離脱することを確認した. さらに,磁場下における沸騰熱伝達の基礎特性の把握するために,白金線を用いた沸騰熱伝達特性評価装置を試作し,磁場下における沸騰熱伝達の計測を行った.その結果,伝熱面に非一様磁場を印加することで,核沸騰領域において,最大13%もの熱伝達率の向上を確認した.同時に,非一様磁場下での,自然対流領域から核沸騰領域における沸騰曲線の作成に成功し,沸騰熱伝達能動制御へ向けた基礎データを取得した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非一様磁場下における気泡生成のメカニズムについて実験的に調査し,気泡と磁場の関係を実験式にまとめることができた.また,解析コードの作成も終了した.さらに,沸騰熱伝達の計測装置を試作し,非一様磁場下における沸騰曲線の作成に成功した.このことから本研究課題に対して,おおむね順調に進展しているものと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
本研究の特徴である膜沸騰領域を核沸騰領域まで遷移させるべく,これまでの実験装置に対して,より入熱流束を大きくできるよう装置を改良し,無磁場下で膜沸騰領域における実験を行う.また,試作した解析コードを並列化可能なコードに改良し,定量的なデータを収集する.また,工学的応用を念頭とした,平面加熱より磁性流体の沸騰を実現する実験装置を試作し,非一様磁場よる磁気排除効果および磁気圧の影響による沸騰熱伝達特性を評価する.以上の結果を基に,高熱流束域の沸騰熱伝達およびその能動制御可能なこれまでにない革新的な熱交換技術を提案する.
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