本研究では,磁気機能性流体の沸騰現象を計測し,そのメカニズムを解明することを目的として,磁気排除効果を用いた新しい熱輸送装置を提案することを目指している. 本年度は,主に非一様磁場下における気泡挙動について実験的,解析的に調査を行った.実験装置として,昨年度と同様の近赤外線光を光源とした可視化装置を用いて,黒色不透明な磁気機能性流体中の気泡の可視化を行った.また、併せて最大泡圧法を用いた磁場下での表面張力係数の計測を行った。その結果,非一様磁場下においては、表面張力係数は印加磁場強度を増加させると減少することが確認できた。また、磁場強度に依存する表面張力係数を考慮することにより、昨年度作成した非一様磁場下での離脱気泡径の実験式をより詳細に説明することが可能であった. また,流体計算として,移流項にCIP法を用いるVSIAM3法および気液界面の補完にLevel Set法とVOF法を組み合わせたCLSVOF法,磁場計算として自己修正法を用いて,流体・磁場カップリングした数値シミュレーションを行った.本年度は流体計算と磁場計算を共にGPUを用いた並列計算用プログラムの作成を行い、20倍もの計算速度の増加に成功した。また、実際の実験での系での計算を行うことに成功し、離脱気泡径における実験データとの良い一致を確認することが可能であった.そして、気泡に作用する力成分を解析し、気泡の変形および離脱メカニズムを説明することが可能であった。
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