研究課題/領域番号 |
16H07344
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
谷口 高平 大阪医科大学, 医学部, 助教 (70779686)
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研究期間 (年度) |
2016-08-26 – 2018-03-31
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キーワード | microRNA / Warburg 効果 / MIR34a / 胃がん |
研究実績の概要 |
第一に、胃がん細胞株にMIR34aを導入し効果を検討した。細胞株として、MKN45とKATOIIIを用いて検討を開始し、結果に基づきNUGC-3とHSC-39を加えて更に検証した。MKN45、NUGC-3、HSC-39においては導入効率が良好で非常に顕著な増殖抑制効果を認めた。HSC-39はWarburg効果に深く関与する、c-Mycの発現が増幅している細胞株であることが知られており、以降の実験ではMKN-45とHSC-39を用いて検討を進めた。MIR34aを導入するとLC3Bの発現がIからIIへ顕著に移行し、電子顕微鏡でもオートファジーの誘導が示唆された。更にその原因をがん特異的代謝機構に関連する遺伝子群から検証した。先ず、これまで我々が検証を進めてきた解糖系の律速酵素である、PKM isoform の発現(M2からM1へのシフトの存在)を解析した。MIR34aはデータベース上、PTBP1を直接標的にしないが、PTBP1の代表的転写因子であるc-Mycを調節することが知られているため検証に値すると判断した。c-Mycの発現は、MIR34aにより顕著に抑制されたが、PKM isoform のシフトは観察されなかった。このことはPKM isoformのシフトには、PTBP1を直接調節することが重要であるという事を示唆した。次に、Warburg効果に与える影響をPKM以外の遺伝子より解析した。解糖系の入口であるGLUT1及び、出口である乳酸産生に関わるLDHAに対して解析を進めた。MIR34aの導入により、GLUT1、LDHAの発現が抑制された。次年度は臨床検体での発現、及び、乳酸産生量、グルコース産生量などを中心に解析を進める。またc-Mycと関連の深い遺伝子にRNAヘリケースDDX6があるため検討を広げる。またPTBP1を直接標的とするmiRNAの検討も進める予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
最も大きな理由は、KATOIII細胞株に対するmiRNAの導入効果が不良であったためである。これまで使用してきた細胞株であり、導入効率は比較的よいと判断していたが、今回検討した際には良好な結果を得られなかった。細胞形態が浮遊であり丸みを帯びているためやや導入しにくい細胞であることは確かである。これに関しては別の細胞株で検討することで対応した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は実験時間を捻出することにもやや苦労した。次年度は積極的に時間を確保し集中的に実験し研究を前進させる計画である。また本研究を進める過程で副次的な結果も得られているため、これ等についても十分に検討し本研究課題での成果を上げることを目標とする。
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