移植コーディネーターが腎移植後のドナー、レシピエントへどのように支援を行い、支援を行う上でどのような点に困難や課題を感じているのかを明らかにすることを目的として研究を行った。 質的記述的研究デザインを用い、研究対象者である『腎移植後のドナー、レシピエントへの支援を行っている我が国の病院に所属する6名の移植コーディネーター』に半構成的面接を実施した。面接内容の分析は、逐語録から移植後の支援や支援を行う中での思いや考えを表していると思われる語りをコード化して抜粋し、さらに文脈の意味や内容を解釈しながら相違点や類似点等の関係性を検討してサブカテゴリ化、カテゴリ化することで分析した。 分析の結果、対象者の多くが病棟看護師や管理職といった他の役割を兼務し、所属する1~2名の移植コーディネーターのみで外来患者への支援を行っていた。このような状況では、限られた労働時間で腎移植ドナー、レシピエントから得られたデータを整理したり、一人一人のドナー、レシピエントの腎移植後の暮らしにおける潜在的健康課題まで抽出することは困難な状況にあった。また、腎移植後のみドナーとレシピエントを支援している機関では、支援開始までのドナー、レシピエントのありようを示すデータが乏しく、限られた外来時間の中で一から情報収集するという負担が生じていた。 このような状況の中で、対象者は勉強会や学会への参加、腎移植ドナー、レシピエントとの信頼関係の構築、定期的な面談日の設定などを行い、よりよい支援を行おうとしていたが、支援の程度や内容は対象者の感覚に委ねられていた。 腎移植後のドナー、レシピエントへの長期的な支援が課題とされ、移植後患者指導管理料も算定されている現在、移植コーディネーターの役割が遂行しやすい環境の整備や、どの病院のどの移植コーディネーター、外来看護師でも同じような支援を行う必要性が示唆された。
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